「コーヒーの苦味は大人の味の代名詞である」と皆さんも子どもの頃思っていませんでしたか?
コーヒーをせめて飲めたとしても、ミルクや砂糖などをたっぷり足した甘いコーヒー飲料くらいで、コーヒーを苦味の効いたブラックで飲めたら大人というイメージですよね。
それほどコーヒーに苦味は不可欠な要素なのです。
また、コーヒーだけに限らず、ビールの苦味・燻製の苦味・山菜の苦味の美味しさがわかってくるのも大人になってから。
薬の苦味を我慢できるのも大人だからこそ、ではないでしょうか。
ではなぜ大人になると、苦味があるものを美味しく感じられるのでしょうか?
コーヒーの苦味を美味しく感じるのはストレスが原因?!
現代人の多くが抱えるストレス。このストレスは、味覚や嗜好にも影響を与えているといわれています。
しかも、より強いストレスを感じれば感じるほど「苦味があるもの」を好む傾向があるとされているのです。
それはなぜでしょうか。
1 例えばコーヒに苦味を感じても、その後に気分が良くなり、「苦い」という記憶を「美味しい」という良い記憶に変えてしまう
2 苦いコーヒーを飲むことで、無意識の間にストレスを解消しようとしている
3 ストレスの強い業務を実験的に行ったところ、実験を行う前と後を比べると、唾液に「リン脂質」という苦味を隠す物質が増え、逆に「美味しい」と感じるようになる(1に近いですね)
※リン脂質・・・生命維持に欠かせない役割を持っている物質
以上のように考えられているので、「苦味」を「美味しい」と現代の大人は思っているようです。
ストレスがかかればかかるほど、苦味を美味しく感じ、それがストレス解消に繋がるとは、ちょっと皮肉な話に聞こえますよね。
人の味覚の発達が影響している
人の味覚は「甘味」「塩味」「酸味」「うま味」「苦味」の5つの味から成り立っています。
この中で、甘味・塩味・うま味は本能的に好む味覚で、苦味や酸味は精神的な味覚(後追いで覚える味覚)といわれています。
ではなぜ、甘味・塩味・うま味が本能的に好まれる味なのでしょうか。
その理由は赤ちゃんが最初に口にする母乳やミルクにありました。
母乳やミルクの主な成分は甘味・塩味・うま味で構成されており、この3つの味に慣れ続けることで味覚も形成され、発達していくのです。
一方で、酸味・苦味は本能的に覚えていない味であり、3つの味を覚えた後から学習する味なので、基本的に体への異物または有害なものであると認識されてしまいます。
一般的に酸味は腐敗、苦味は毒として判断・認識されます。
ですから、本来は異物・有害である味の酸味・苦味を「安全である」と判断し、さらに「美味しい」と感じるためには、味の経験や学習が必要となってくるわけなのです。
ちなみに本来、人は味覚を感じる「味蕾(みらい)」という細胞の集まりを舌に持っており、「味蕾」が刺激を受けると大脳にその刺激が伝わり、味を感じる仕組みになっています。
「苦味は主に舌の後ろの方で感じる」と言われますが、それは「味蕾」が舌の前よりも後ろの方に多く集まっており、敏感に「苦味」を感じられるように=異物・有毒なものに反応するよう、人間の舌が作られているからなのです。
まとめ
苦味を「美味しい」と感じるのは成長・経験によるものであり、身体的・精神的に進化・成熟した結果である、つまり「大人になった」ということだったのです。
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